外国人を雇用する上で必要な「在留資格」とは

外国人を雇用する上で必要な「在留資格」とは

外国人を雇用する上で、また、技能実習制度や特定技能制度などを利用する上でも必要となるのが在留資格です。

「技能実習」や「特定技能」も在留資格の一種であると言われますが、そもそも在留資格とはどんなものなのでしょうか?

本記事では在留資格に関する、下記の様な疑問にお答えします。

  • そもそも「在留資格」とは?
  • 在留資格とビザはどう違う?
  • 在留資格はどんな種類がある?

在留資格とは

外国人が日本に滞在するために必要な資格(許可)「在留資格」と呼び、「就労ビザ」と表現される場合もあります。

在留資格の種類は資格ごとに滞在できる期間、在留中に行なうことができる活動が法定されており、2019年4月に追加された「特定技能」の資格を含めると29種類の在留資格が存在します。

また、取得にあたっては日本の法務省(出入国在留管理局)に申請をします。

外国人は、この資格を得ることで日本に長期在留し、活動することができます。

ビザと在留資格の違いは?

「在留資格」を「就労ビザ」と呼ぶ場合があるため勘違いしてしまう事がありますが、厳密にはビザと在留資格は別物です。

ビザは日本語の正式名称を「査証」といい、入国の際の申請に必要な書類の一部です。

国家が自国民以外に対して、そのパスポートが有効であり入国しても差し支えがないことを証明する「入国許可証」のような役割を持ちます。

ビザは入国審査の後は無効となり、以後は上陸審査の際に与えられた「在留資格」が外国人の日本滞在の根拠となります。

あくまでもビザは入国するために必要な書類の一部であり、入国後にその国で生活する資格を証明するものではありません。

在留資格の種類

在留資格の種類は2019年4月に追加された「特定技能」の資格を含めると29種類存在しますが、その中で大きく分けて「活動類型資格」と「地位等類型資格」に分類できます。

活動類型資格

 活動類型資格とは「活動に基づいた在留資格」で、外国人がそれぞれ定められた活動を行うことによって、日本に在留することが許可される資格になります。

例えば「日本の企業で働く」「日本の大学で勉強をする」など、どのような活動を日本で行うのかを明確にすることで取得することができます。

また、活動類型資格に該当する在留資格には、就労することができる在留資格と、就労することができない在留資格があります。

①活動類型資格(就労可能なもの)

 活動類型資格で就労が可能な在留資格は以下になります。
また、この中には技能実習と特定技能も含まれています。

在留資格該当例
外交外国政府の大使、公使、総領事、代表団構成員等およびその家族
公用外国政府の大使館や領事館の職員およびその家族
国際機関等殻公の用務で派遣される者及びその家族
教授大学教授や高等専門学校の研究・教育活動にあたる者
芸術作曲家、画家、作家等
宗教外国の宗教団体から派遣される宣教師等
報道外国の報道機関の記者、カメラマン等
高度専門職ポイント制による高度人材
経営・管理企業の経営者や管理者
法律・会計業務弁護士・公認会計士等
医療医師、歯科医師、看護師等
研究政府関係機関や企業等の研究者
教育高等学校・中学校等の語学教師等
技術・人文知識・国際業務機械工学等の技術者、通訳、語学講師、デザイナー
企業内転勤外国事業所からの転勤者で、活動は技術や人文知識・国際業務に掲げるものに限る
介護介護福祉士
興行俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等
特定技能
(1号・2号)
特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を要する技能を要する業務に従事する外国人(特定技能1号)
特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人(特定技能2号)
技能実習
(1号・2号・3号)
技能実習生
技能外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機等の操縦者、貴金属等の加工職人等
特定活動外交官等の家事使用人,ワーキング・ホリデー,経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等

②活動類型資格(就労不可能)

 活動類型資格の中でも下記のような在留資格は就労が不可能となります。
ただし、留学生や就労資格等で在留する外国人の家族等は、地方入国管理局で資格外活動の許可を得ることができれば原則1週間に28時間までの就労が可能となります。

在留資格具体例
文化活動日本文化の研究者等
短期滞在観光客、スポーツや会議の参加者、保養、短期の親族訪問等
留学本邦(わが国)の大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、
中学校および小学校等の学生・生徒
研修研修生
家族滞在在留外国人が扶養する配偶者・子

地位等類型資格

「地位等類型資格」は身分・地位に基づく在留資格で、就労に活動制限はありません。

在留資格具体例
永住者法務大臣から永住の許可を受けた者(入管特例法の「特別永住者」を除く)
日本人の配偶者等日本人の配偶者・子・特別養子
永住者の配偶者等永住者・特別永住者の配偶者及び本邦で出生し引き続き在留している子
定住者第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人等

在留カードとは?

在留カードとは、在留資格に係る許可の結果として、日本に中期間・長期間在留する外国人を対象に入国管理局より交付されるICカードです。

上陸審査の際に与えられた「在留資格」と「在留期間」を証明する役割があります。

法務大臣が日本に中長期間滞在できる在留資格及び在留期間をもって適法に在留する者であることを証明する「証明書」としての役割と、従来パスポートになされる各種許可の証印等に代わって許可の要式行為となるため「許可証」としての役割を持っています。

交付されるタイミングは、入国時、在留資格を変更した時、在留期間を更新した時などで、3年間在留する技能実習生の場合は、少なくとも3回、実習期間が延長される場合はさらに4回、5回と交付されることになります。

在留資格の取り消しになる場合は?

在留資格は偽りや不正の手段により上陸許可の証印等を受けた場合や、在留資格に基づく本来の活動を一定期間行わないで在留していた場合などに取り消しになるケースもあります。
具体的には以下のようなケースが挙げられます。

1.上陸拒否事由に該当している事実を偽り上陸許可を受けた場合
過去に退去を強制され上陸拒否期間中の人間が、その事実や氏名を隠し、偽って入国した場合など
2.日本での活動内容を偽った場合
留学や旅行などの短期滞在の在留資格を持ちながら、実は就労目的で入国していた場合など。
3.上記の1.2.以外の内容を偽った場合
上記の1.2.以外の内容でも、学歴や資格、職歴などを偽って、上陸許可などを受けた場合は、在留資格が取り消されます。
4.申請人以外が事実と異なる文書を提出した場合
就職先の企業や受入企業などが虚偽の書類を提出して上陸許可をもらっていた場合など。
5.在留資格にかかる活動を正当な事由もなく3ヶ月以上行っていない場合
在留資格を持っている外国人が、正当な理由もなく在留資格に関する活動を3か月以上行っていない場合
6.偽りやその他不正の手段により、在留特別許可を受けた場合
7.「日本の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格を持っている外国人が、配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合
日本人や日本永住者と結婚し在留資格を得た人が、その配偶者と暮らしていなかった等、配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合
8.上陸の許可又は在留資格の変更許可等により、新たに中長期在留者となった者が、当該許可を受けてから90日以内に、法務大臣に住居地の届出をしない場合
上陸許可や在留資格の変更許可申請によって新たに中長期在留者となった者が、90日以内に法務大臣に対し住居地の届出をしない場合
9.中長期在留者が、法務大臣に届け出た住居地から退去した日から90日以内に、法務大臣に新しい住居地の届出をしない場合
中長期在留者が引っ越しを行った際に、90日以内に法務大臣に対し住居地の届出をしない場合
10.中長期在留者が、法務大臣に虚偽の住居地を届け出た場合
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